ときおり「早く矯正装置をつけたほうが良い」ということを聞きますが、これは一概にそうと言い切ることはできません。
もちろん早めに治療を行うことが大切な場合もありますが、ベストな治療開始時期は症状により異なります。大切なのは、症状を見極めて適切な時期に適切な治療を行うこと。
そうすることで、お子様自身の負担と費用を抑えつつも、良い結果を得ることができます。
矯正治療を受けるにあたって大切にしたいのが、この考え方。実は歯列不正には
- I期治療から開放した方がよい症例
- II期治療から開放した方がよい症例
があるのです。つまり、これは混合歯列の時点で歯並びが乱れていても、あえて永久歯に生え替わるまで治療を待つことがある、ということです。この「待つ」、いわゆる「経過観察」をすることで、適切な時期に適切な治療を行うことができます。そのことにより、お子様の負担を大幅に軽減します。
《「永久歯がなかなか生えてこない」は多く見られる症例です。
早めの検討が必要な場合もあります。》
乳歯が抜けた後永久歯が生えてこない場合や、乳歯がいつまでたっても抜けない場合、生える向きを失ってしまい歯ぐきの中に埋没してしまう「埋伏歯(まいふくし)」や、乳歯の代わりとなる永久歯が生まれつき生えてこない「先天欠如(せんてんけつじょ)」の可能性があります。
早い段階で発見できた埋伏歯はただしく萌出するよう誘導することが可能です。また、先天欠如に関しては乳歯をそのまま大人になるまで保存する治療法もあります。保存した乳歯は持って20年ほどですが、成長途中の子どもの顎にインプラントは難しいため、乳歯を保存することで必要となるインプラント治療へバトンをつなぐことが可能になります。 お口にとって生え変わりは一生に一度の大イベントです、これらのサインを見落とさないよう注意しましょう。
I期治療から開放したほうがよい症例を治療せずに、Ⅱ期治療から開放する場合、治療方法の選択の幅がせばまってしまったり、治療期間が長くなってしまう場合もあります。ですから、I期で治療を受けるタイミングを逃さないためにも、できるだけ早めのご相談をおすすめします。そのうえで、お子様の歯並びを整えるための治療計画を立てていきましょう。